2020/06/10 2020/06/15

通関士試験とはどんな試験?試験内容、難易度、勉強方法を詳しく解説します!

通関士試験とはどんな試験?試験内容、難易度、勉強方法を詳しく解説します!

通関士とは、貿易業務に関する国家資格です。財務省が管轄、管理している資格。通関士は、輸出入が増える近年、就職やキャリアップに役立つ資格として注目されています。

「貿易事務は憧れるけど、通関士の資格は必ず必要?」と思っている方はいませんか。通関士は、貿易業務に関わる唯一の仕事で、通関士にしかできない独占業務があります。

また、通関士試験について、「興味はあるけど、難しそう」と思っている方はいませんか。

この記事では、通関士の仕事、通関士試験の内容、難易度、勉強方法をわかりやすく解説します。

通関士とはどんな仕事?

通関とは、税の関所を通過すること

「通関」とはどう意味でしょうか。通関とは、外国からモノの輸入や輸出を行う際に書類を申請し、「税関(Japan Customs)」(役所)に許可を得ることです。税関という関所を通す意味で、通関と言います。輸出入に関係しする税関への申請から許可がおりるまでの一連の流れを「通関業務」と言います。

輸入の例で説明しましょう。フィリピンからバナナを輸入したり、ドイツから高級車を輸入したい会社があります。その会社は商社や卸業者、メーカーなどです。輸入する会社が、専門の通関業者に代理で通関業務を頼みます。

通関業者とは、倉庫会社、物流会社、航空会社、通関士事務所などが担うことが多く、輸入会社の代理で通関業務を行います。通関士は、通関業者に勤務して通関業務を担います。

具体的には、通関士は、輸入の際には輸入申告書と呼ばれる書類を作成します。その輸入申告書を税関に提出します。税関は、その輸入申告書を元に、輸入したモノの量や内容が正しいか、輸入禁止のものが含まれていないかなどを実際に確かめます。輸入される際にかかる税金が、正しく課税されているかという計算も通関士が行います。

通関士とは、聞き慣れない言葉のようで、実際には、皆さんの生活に密接に関わっている仕事です。

今はグローバル社会で、日本と世界各国の間でモノが大量に行き交う時代。日本の貿易総額(輸出入合計額)は約164兆円(2018年度)にも登ります。今後も通関士のニーズが高まることは、間違いないでしょう。通関士の資格は、安定した就職につながります。

通関士は貿易業務の唯一の国家資格

通関士は、財務省が管轄する貿易業務に関する唯一の国家資格です。また、「通関書類の審査」と「通関書類への記名・押印」という、通関士だけが許される独占業務があります。

さらに、通関士は、 通関業務に関する専門的知識、経験を有する専門家として、原則として通関業務を行う営業所ごとに通関士を置かなければならないと法律で定められています。通関士とは、国家試験である通関士試験に合格した者のうち、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認を受け、通関業務に従事する者をいいます。

安定した需要があり、国家資格として独占業務がある通関士は、貿易事務に関わりたい人にとっては、必須の資格です。

また、人気の事務職に就きたい人が、貿易事務に携わるた目に取得する資格としても人気です。近年は、事務職が派遣などの非正規雇用での採用になる場合も多いです。「事務職で正社員を目指したい」方が、正社員就職のために、通関士資格を取得するのも一つの方法です。

また、一生ものの資格として、結婚や出産・介護などの事情で、途中でキャリアを中断した方が仕事復帰をする際にも役に立ちます。このような理由から、通関士は男性はもちろん、女性にも人気の資格です。

通関士の知識は交渉の武器になる

通関士は、貿易のエキスパートとして、通関業者で働く以外にも、様々な場面で役立つ資格です。商社やメーカーで働く人が海外営業や輸出入の交渉、資材調達などに携わる時などにも、通関士として学んだ専門的な知識が役に立ちます。

最近では、個人で輸入業を始める方も増え、個人輸入の仕事に必要な知識を得るために、通関士の勉強を始める方もいます。

通関士は経験を積み重ねることができる仕事

通関士は法律や税金に関する業務を扱うため、貿易業務の「行政書士」や「税理士」と言われることがあります。貿易業務のスペシャリストと言える仕事です。「行政書士」や「税理士」と違うのは、独立開業して仕事を行うのではなく、通関業者に在籍して仕事を行う方がほとんどです。

通関業者(倉庫会社、物流会社、航空会社、通関士事務所など)に在籍し、専門的な通関業務を担当することで、経験が積み上がり、その経験が評価される仕事です。

通関士は「開業して年収1000万円を目指す!」ことは難しいですが、コツコツと経験と知識を積み上げて、地域差はありますが、年収600万円に到達するには堅実な道といえます。

通関士試験とはどんな試験?難易度は?

通関士試験の概要

受験資格受験資格の制限がありません。学歴・年齢・国籍問いません。
受験日程例年10月の第1または第2日曜日
受験科目
1関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)
2通関書類の作成要領その他通関手続きの実務
3通関業法

※貿易業務の実務経験が5年以上ある方は、一部科目免除が適用される場合があります。

試験方式マークシート方式
合格基準全科目60%以上の得点
受験地北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県の全国13か所
受験料3,000円

通関士の試験は、受験資格の制限がなく、受験料も高額ではありません。高卒の方も受験することができます。また、合格の基準も得点が全科目60%以上と事前に公表されているため、挑戦しやすい資格と言えます。

通関士試験科目の一部免除

通関士試験は、通関業務の経験が5年以上の場合、3科目ある試験科目のうち、一部が免除になります。すでに、通関業務に関わる業務に携わった経験がある方は、該当するかどうか受験願書の提出前に確認してください。

該当する場合には、受験願書の提出時に「通関士試験科目の一部免除申請書」と「証明書」を受験願書と共に提出する必要があります。通関士試験科目の一部免除が認められるかどうかは、受験票と共にその通知が届きます。

〔科目の免除〕

1.通関業者の通関業務又は官庁における関税その他通関に関する事務(税関の事務及びその監督に係る事務をいう。)に従事した期間が通算して15年以上になるとき
試験科目の下記(1)及び(2)の2科目免除
2.通関業者の通関業務又は官庁における通関事務(税関における貨物の通関事務(その監督に係る事務を含む。)をいう。)に従事した期間が通算して5年以上になるとき
試験科目の下記(2)の1科目免除
 なお、通関業者の通関業務及び官庁の関税に関する事務等の中には、特別の判断を必要としない機械的事務(例えば、自己の判断を要しない単なるパソコン等への入力事務及びタイプ事務、使送事務、貨物の内容点検業務等)は含まれません。

〔試験科目〕

(1)関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)
(2)通関書類の作成要領その他通関手続の実務
(3)通関業法

通関士試験のスケジュール

7月上旬財務省の官報に通関士試験の詳細が交付
7月上旬〜8月上旬受験案内と受験願書を全国9カ所の税関で配布
7月下旬〜8月上旬受験願書の受付 受験希望地を管轄する税関に提出
10月上旬試験日
11月下旬〜12月上旬合格発表 官報と税関ホームページに受験番号記載

通関士試験は、受験案内と受験願書を全国9カ所の税関で配布されます。配布が始まったらすぐに、税関に受け取りに行くか、郵送でも請求しましょう。

要注意なのが、試験実施地は13か所ありますが、受験願書の請求先は9つの税関です。試験実施地と受験願書の請求先の県が異なる場合があるので、間違えないように気をつけましょう。例えば、新潟県で試験を受験したい方は東京税関に、宮城県の方は横浜税関、静岡の方は名古屋税関が受験願書の請求先です。

詳しくは、税関のホームページで7月上旬に公表される詳細を確認してください。

https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/shiken/shikencontents_jr.htm

試験実施地

受験願書の請求先

北海道函館税関通関業監督官
新潟県

東京都

東京税関通関業監督官
宮城県

神奈川県

横浜税関通関業監督官
静岡県

愛知県

名古屋税関通関業監督官
大阪府大阪税関通関業監督官
兵庫県

広島県

神戸税関通関業監督官
福岡県門司税関通関業監督官
熊本県長崎税関通関業監督官
沖縄県沖縄地区税関通関業監督官

また、受験願書の受付期間が例年2週間程度と短いため、受験願書や必要書類の準備を早めに行いましょう。

既に仕事で貿易業務に携わり、輸出入・港湾関連情報システム(NACCS)を利用している場合、NACCSから受験願書の提出・受験手数料の納付を行うこともできます。

詳しくは、輸出入・港湾関連情報システム(NACCS) ホームページをご確認ください。

https://www.naccs.jp/

通関士試験の合格率は約10%〜15%

通関士試験の合格率は、年によって変わりますが、約10%〜15%決して簡単な試験とは言えません。けれども試験の範囲は決まっており、合格基準も60%以上の得点と公表されています。さらに、合格人数の定員がある試験ではありません。他人との競争ではなく、自分との競争である試験であると言えます。

計画的に準備をすれば、決して難しい試験とは言えません。

過去の実施概要   税関ホームページより一部抜粋

第53回(令和元年10月)

願書提出者数

受験者数

合格者数

合格率

全科目受験者

7,816

5,661

708

12.5%

男性

4,482

3,134

365

11.6%

女性

3,334

2,527

343

13.6%

2科目受験者

668

567

71

12.5%

男性

521

433

46

10.6%

女性

147

134

25

18.7%

1科目受験者

177

160

99

61.9%

男性

157

142

85

59.9%

女性

20

18

14

77.8%

合計

8,661

6,388

878

13.7%

男性

5,160

3,709

496

13.4%

女性

3,501

2,679

382

14.3%

通関士試験の勉強方法は?独学はできる?

勉強時間の目安は500時間

通関士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は、400時間から500時間です。受験生の多くが、働きながら、勉強時間を確保されている社会人の方です。中には、専門学校生や大学生が貿易関係への就職を目指し、勉強に励んでいる方もいます。

働きながらの勉強時間500時間の確保はなかなか難しいですね。平日2時間、土日の休みにそれぞれ4時間勉強して、7ヶ月かかります。

通関士試験は、年に1回実施される試験のため、試験日に向けて計画的な勉強が必要です。

既に貿易業務の経験が豊富な人は独学可能

既に貿易業務に長い間携わっている方通関業務の実務経験が豊富な方、法学部出身で法律の文章に馴染みがある方で、勉強が得意な方。法律や税金に苦手意識がなく、暗記科目が得意な方は、独学でも合格できる場合があります。

けれども、500時間以上の勉強時間を確保し、計画的に勉強するためには、通信講座や通学制の学校を利用する方が、効率が良いです。

未経験の方は通信講座をおすすめ

貿易業務未経験、または経験が浅い方、法律の文章や税金の計算に馴染みがない方は、通信講座の受講や通学での学習をおすすめします。

通関士試験は、全科目でそれぞれ60%以上が合格基準であるので、3科目満遍なく勉強する必要があります。通信講座や通学講座なら、3教科全てを網羅し、効率よく勉強することができます。

<通信講座>

ユーキャンの通関士講座

https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/52/

※資料請求でカリキュラムを確認することができます。

 

 

クレアール

通関士・貿易実務

https://www.crear-ac.co.jp/tsukanshi/

<通学制講座>

資格の学校 TAC

通関士/貿易実務検定®︎

https://www.tac-school.co.jp/kouza_tukan.html

まとめ:通関士は、貿易業務のエキスパートである唯一の国家資格。

貿易に興味がある方、貿易事務に関わりたい方はもちろん、海外営業、貿易交渉や購買、資材調達など、メーカーや商社にお勤めの方、個人輸入に興味がある方にとっても役立つ資格です。

また、一生ものの資格として、事務職で長く働きたい方、専門知識と経験を積み重ねたい方にもオススメです。

貿易業務の専門職として、日本の輸出入に関わる通関士。ぜひ貿易の専門家を目指して、今日から準備を始めましょう!

執筆者
NEXIL編集部
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