高卒認定とはどんな試験?科目や難易度、科目免除をわかりやすく説明します。
高卒認定試験とは、高等学校卒業程度認定試験のことです。高卒認定試験に合格すると大学・短大・専門学校の受験資格を得ることができます。また、高校卒業した人と同じ程度の学力があるという証明になるので、資格試験の受験資格や就職の際に役に立ちます。
高校に進学しなかった人や高校を中退した人にとって、高卒認定試験に合格することで、新たな人生の挑戦やステップアップができます。あなたが今まで「中卒だから難しい」「高校中退だから無理」と諦めていたことを手に入れるチャンスです。
人生に遅すぎることはないという言葉があります。自分の人生を後悔しないためにも、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。高卒認定試験は、形式や範囲が決まっているため、対策をすれば難しい試験ではありません。
この記事では、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の試験科目、難易度、科目免除や勉強方法についてわかりやすく解説します。
高卒認定とはどんな試験?科目や難易度は?
高卒認定は高等学校卒業程度認定試験
高卒認定試験は、正式名称は高等学校卒業程度認定試験といいます。文部科学省が年2回実施します。高校に進学しなかった人、高校を中退した人などが、高校を卒業した人と同等の学力があるかどうかを認定するための試験です。
高卒(高等学校卒業)とは違うため、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)への合格は、最終学歴が高校卒業になるわけではありません。けれども、次のステップへの扉を開くことができるメリットがあります。
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます。また、高等学校卒業者と同等以上の学力がある者として認定され、国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)や保育士試験などの採用試験・資格試験等に活用することができます。
大検(大学入学資格検定)は、平成17年度より高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)
に変更になりました。科目が変わりましたが、難易度は大検時代と大きく変わりがありません。大検で一部科目に合格したけど、途中で勉強をやめてしまった方へ。大検の合格科目を高卒認定試験の科目免除で認められる場合があります。もう一度、挑戦してみませんか。
高卒認定試験の試験科目
教科 | 試験科目 | 科目数 | 要件 |
国語 | 国 語 | 1 | 必修 |
地理歴史 | 世界史A、世界史B | 1 | 2科目のうちいずれか1科目必修 |
日本史A、日本史B 地理A、地理B | 1 | 4科目のうちいずれか1科目必修 | |
公民 | 現在社会 | 1又は2 | 「現在社会」1科目 又は 「倫理」及び「政治・経済」の2科目のうちいずれか必修 |
倫理、政治・経済 | |||
数学 | 数 学 | 1 | 必修 |
理科 | 科学と人間社会 | 2又は3 | 以下のいずれか1又は2が必修 1「科学と人間生活」の1科目と「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち1科目(合計2科目) 2「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち3科目(合計3科目) |
物理基礎 | |||
科学基礎 | |||
生物基礎 | |||
地学基礎 | |||
外国語 | 英 語 | 1 | 必修 |
変わる可能性もありますので、受験の前に必ず、文部科学省のホームページで確認しましょう。
高卒認定試験の難易度は基礎
全科目合格する人は、実施の回によって異なりますが、約30%から40%です。1科目だけでも合格する人の割合は80%程度です。
試験問題は、「センター試験と比べて難易度はどうですか」という質問をされます。高卒認定試験は、センター試験と比べると基礎的な問題が多い試験です。
目安とする得点は、1科目100点満点中45点以上を目指すテストです。このように書くと簡単に思われるかもしれませんが、そうではありません。
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、基礎的な問題が多いですが、科目数が8科目から10科目と多く、全科目に合格する必要があるため、計画的な準備が必要です。
けれども、心配したり、諦めたりする必要はありません。年間2回の受験機会があり、何度も受験できるので、数年かけて全科目合格を目指すことができます。勉強が苦手な方、勉強する習慣が身についていない方も、得意な科目から挑戦することができます。
科目免除のための3つのステップ
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、科目免除という制度があります。科目免除を利用できる場合、受験する科目が減り、全科目合格への負担が少なくなります。
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)を受けようと思ったら、まず自分が科目免除要件に当てはまっているかどうかを確認しましょう。
科目免除対象者は以下3つのケース
1. 高校・高等専門学校に1年次以上在籍し、単位を修得後に中途退学した方
2.英検(実用英語技能検定)や数検(実用数学技能検定)等の技能検定に合格している方
3. 大検(大学入学資格検定)や高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)で合格科目がある方
科目免除の申請の手順は以下の通りです。
(1) 在籍していた高校・高専に単位修得証明書の発行を依頼する
(2) 文部科学省ホームページの免除要件を確認する
(3) 高卒認定試験の出願時、科目免除を申請する
以下に詳細を説明します。
(1) 在籍していた高校・高専に単位修得証明書の発行を依頼する
自分が在籍していた学校の事務局や進路担当などに連絡して「高卒認定試験の科目免除のための単位修得証明書」を2部発行してもらいます。
単位修得証明書の1部は必ず厳封で、開封してはいけません。高卒認定試験の受験申し込みの時に提出します。もう1通は、自分自身用で開封して、内容を確認します。
気をつけておきたい注意事項です。必ず「高卒認定試験科目免除のため、文部科学省様式による証明書の作成をお願いします」と学校に伝えてください。発行される証明書が学校独自の様式の場合、科目免除申請が受理されない場合がありますので、注意してください。
(2) 文部科学省ホームページの免除要件を確認する
在籍していた学校が作成した単位修得証明書2部のうちの1部を自分用として開封してください。そこに書かれたあなたが修得済みの単位が、文部科学省のホームページにある科目の免除要件に該当するかどうかを確認します。
「科目名」だけでなく、「単位数」が免除要件に必要な単位数を修得できているかを確認してください。
また、英検(実用英語技能検定)や国際連合公用語英語検定試験、数検(実用数学技能検定)、歴史能力検定などの技能審査にすでに合格している場合、一部該当する科目が免除になる場合があります。
大検(大学入学資格検定)での科目合格がある方は、「科目合格通知書」で免除要件を確認しましょう。
文部科学省ホームページ 免除要件
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/06033010/007.htm
(3) 高卒認定試験の出願時、科目免除を申請する
(2)の免除要件で免除になる科目が分かったら、高卒認定試験の申し込みの際、願書に科目免除になる科目を記載します。
併せて、証明となる書類を提出する必要があります。
■高校・高専での単位取得による科目免除の方
→在籍高校が発行した「単位修得証明書」(必ず厳封)
■英検(実用英語技能検定)などの技能試験の合格による科目免除の方
→合格証明書(原本)
■高卒認定試験や大検での一部科目合格による科目免除の方
→「科目合格通知書」(原本)
※「科目合格通知書」を紛失した場合、再発行が可能です。文部科学省生涯学習課まで、郵送で申し込みしてください。発行までに時間がかかりますので、高卒認定試験の出願締め切りに間に合うよう、早め早めの準備をお願いします。
文部科学省ホームページ 科目合格通知書再交付願
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2020/03/11/1291539_11.pdf
高卒認定試験の勉強方法は?
受験科目を決める
まずは、科目免除に該当するものがないかどうかを確認します。自分が何科目受験する必要があるかを知る必要があります。
次に、選択科目を選びます。例えば、世界史は、世界史Aと世界史Bがあり、どちらか一つを選ばなければいけません。世界史AとBの違いは、世界史Bの方が出題の範囲が広く、問題の難易度が高いです。
そのため、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の合格後に大学受験をしない方、確実に高卒認定試験に合格したい方には世界史Aの受験をおすすめします。けれども、高卒認定試験合格後に大学入試を考えており、大学入試で世界史Bの範囲が必要になる場合は、世界史Bを選択した方が良いです。高卒認定試験の世界史Bの勉強をすることが、大学受験の勉強にもなります。理科も同様に、大学受験と大きく関わります。大学受験を考えている方は、大学受験に必要な受験勉強の科目はどれか、高卒認定試験のその後を考えた上で、受験科目を選んでください。
また、現在、仕事や家事、介護などと並行して高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の受験勉強を考えているあなた。高卒認定試験は年に2回実施されるため、勉強時間の確保がなかなか難しい方は、1回目の試験と2回目の試験で、科目を分けて試験を受けるのも一つの方法です。もちろん2年や3年かけて合格される方がいますが、最初から長期的な計画だと勉強が続かない恐れもあります。まずは、1年2回のチャンスで合格できるように計画を立てましょう。
過去問題とワークブック
「どの科目が得意かわからない」という方は、まずは過去問題をみてみましょう。過去問題は文部科学省のホームページで公開されています。けれども、問題と解答しか掲載されていません。勉強するには、過去問題と解答だけでなく、解説が記載されているものがおすすめです。
文部科学省 高卒認定試験 過去問題
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/index.htm
高卒認定スーパー実践過去問題集(J-出版)
https://www.j-publish.net/contents/book02.html
高卒認定試験受験者の中でよく使われている参考書と問題集がワークブックです。初めて勉強する科目も、基本事項から勉強することができます。
ワークブック (J-出版)
https://www.j-publish.net/contents/book01.html
過去問題の解き方
過去問題の解き方を間違えている人が多いようです。ここで、過去問題のおすすめの解き方を説明します。
<過去問題のおすすめの解き方>
1. 本番の試験時間と同じように、時間を計って問題を解く
2. 答え合わせをする
3. 間違えた問題とカンで正解した問題の解説をじっくりと読んで復習、
4. 間違えた問題とカンで正解した問題を1週間後にもう一度解く
過去問題は、ただ解いて満足して終わってしまう人がとても多いです。けれども、解くだけでは、全く実力アップにはなりません。問題を解いた後は、問題を解いた時間の倍の時間をかけて、復習するように心がけましょう。
高卒認定試験は、形式や範囲は大きく変わらないため、過去問題を何度でも解くことが合格につながります。けれども、間違えたところを復習しなければ力になりません。間違えたところは、「次は絶対に間違えない!」というつもりで復習に力を入れてくださいね。
その積み重ねが、皆さんの実力になります。
勉強習慣がない人は通信か通学で
「しばらく勉強してないから勉強できるか不安」「苦手な英語や数学をどうやって勉強したらいいかわからない」といった独学での勉強を不安に思っている方はいませんか。
そんな方には通信制の講座があります。自分の学習ペースで進めることができます。
ユーキャン
高卒認定試験合格指導講座
久しぶりに勉強を始める方におすすめ。1科目から受講することもできます。
https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1354/
大学受験の勉強もしたい方、時間の余裕がある方は、通学での学習もおすすめです。高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)の専門予備校や通信制高校のサポート校が、高卒認定試験の対策授業を行なっている学校もあります。
四谷学院
大学進学を考えている方向け
https://yotsuyagakuin-kounin.com/kounin/
学校に通うことで、試験の情報も手に入りやすく、勉強の習慣も身につきやすいです。
まとめ:高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)は、あなたの可能性、選択肢を広げてくれる扉です。
準備をすれば、確実に合格が近づく試験です。怖がる必要もあきらめる必要はありません。
自分の将来のために、今、行動しましょう!